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【授業講演】小学3年生にデザインの授業を実施|横須賀市立大矢部小学校 第1回授業レポート

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2026年10月9日、横須賀市立大矢部小学校の3年生2クラス(各クラス約30名)で、
市内で活動するデザイナーとして外部講師の授業を行いました。

クイズとグループワークを通じて「誰に伝えるか」を
考えた第1回の様子をお伝えします。

きっかけは、町探検で見つけた空き地から…

大矢部小学校の3年生は、総合的な学習の時間に
地域活動の一環として町探検を行なったそうです。

その中で見つけた未整備の土地を調べたところ、
2年後に大きな公園になることが発覚!

そこから、
「この公園に自分たちができることは何か」
をテーマに、公園内のゴミ拾い、壁面のアート、
オリジナルキャラクターづくりなど、
複数の取り組みが生まれました。

その一つが、ポスターやチラシによる広報です。


「学校では教えられないデザインを学びたい」
という声を受け、同じ地域でデザイナーとして
活動している私に、外部講師の依頼が届きました。

舞台となる公園は、横須賀市大矢部に
2028年4月に開園予定の
「MEZAME VALLEY 大矢部みどりの公園」(めざめバレー)です。

昭和14年(1939年)から弾薬庫として使われ、
長く一般の立ち入りが限られてきた谷戸が、
89年ぶりにまちへひらかれます(公式サイト)。

授業の流れ:クイズで「デザイン」をつかみ、ワークで「誰に」を考える

第1回は、いきなり制作に入らず、
チラシやポスターを作る前に大切な要素である
「前提」を考える回にしました。

【講義内容】

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クイズで伝えた「デザインとは何か」

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デザインについて伝える授業の様子

「デザインって何だと思う?」

最初にこう問いかけると、標識やマーク、
チラシやポスター、何かの案内など、
さまざまな答えが返ってきました。

ただ、デザインとは何かまだ分からず
悩んでいる子も多く、
はっきり理解している児童は少ない様子でした。

そこで、難しい説明はせず、
身近なユニバーサルデザインから話しました。

信号機の色の配置、缶の飲み物の点字、
牛乳パックの切り込み。

「多くの人が使いやすい」
「困らないため」という例を重ね、最後に

「デザインは思いやりをもとに作られるもの」

と伝えました。


「実は意味があった」
「こんな工夫がされていたんだ」
という発見に、みんな興味を持って聞いてくれました。

デザイナーの仕事は、
大人でも想像しにくいものです。

そこで、大矢部小の児童なら
誰もが一度は見たことのある
近所のカフェを例に出し、
私がそのロゴマークを作った事例も
紹介させていただきました。

運動会チラシのクイズ:「どちらが見やすい?」

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文字だけが並ぶAと、写真と大きな文字で
日時・場所・持ち物を整理したB。

2種類の運動会の案内を見せて
「どちらが見やすいか」を聞くと、
各クラスの9割以上が「Bが見やすい」と答えました。

理由を聞くと、「文字が大きい」
「情報が少ない」「写真がある」と、
どれも的を射た意見ばかりです。

言葉で説明するより、
目で見て比べてもらうほうが伝わると、
あらためて感じた瞬間でした!

公園チラシのクイズ:「どちらが子ども向け?」

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実際にデザイン例を見せながら比較クイズを実施

次は、架空の同じ公園の
2種類の案内を用意しました。

ベンチやトイレなどの設備を
整理して伝えるものと、

遊具のイラストと明るい色で
「あたらしくなったよ!」と呼びかけるもの。


「どちらが子ども向けだと思う?」と聞くと、
こちらも9割ほどBに手が挙がり
理由を聞いてみたところ、

「遊具のイラストがある」
「色が多くてカラフル」
「漢字を使っていない」

と、鋭い意見がたくさん出ました。

これは普段プロのデザイナーの講義でも
日頃から伝えている、デザインの「言語化」です。

事前に良し悪しの基準を
伝えていなかったのにも関わらず、
パッとこれらの意見が出てきました。


大人でもデザインの言語化に悩む方が多い中、
使っている挿絵や文字を深く読み取る
子どもたちの言語化力に、
私も驚きを隠せませんでした。


ここまでの流れで、
「デザインを作るときには、必ず伝える相手がいる」
という前提を、かなりスムーズに
理解してもらえたと感じています。

グループワーク:「誰に来てほしいか」を考える

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デザインの考え方を伝えた上でワークを実施

後半は、ペルソナ(想定する相手)を使った
グループワークです。
流れは次の5ステップで行いました。

  1. 来てほしい人を、事前に用意した6人の中から班で選ぶ
  2. その人が公園でできたらうれしいことを書き出す
  3. チラシに一番大きく入れたい言葉を考える
  4. 班で「これだ」と思う1つを選ぶ
  5. グループ発表

ポイントは「みんなが『行きたい!』
『家族にも見せたい!』と思う
言葉を選ぶこと」です。

6人のペルソナを用意した理由

用意したのは、赤ちゃんとママ、
犬とおじいちゃん、中学生、
車いすのお姉さん、海外から来た家族、
小学生の6人です。

小学3年生が、ゼロから相手を
思い浮かべるのはまだ難しいため、
こちらで事前に用意しました。


車いすの方や海外から来た家族を
入れたのには、狙いがあります。

自分たちの「当たり前」とは
違う人がいると知ってほしかったこと、

そして授業を実施した横須賀の地域は
米軍基地があることからも海外の方も多く暮らし、
実際に公園を訪れる可能性があることです。

思いやりと視野を広げる
きっかけになればと考えました。

子どもたちの動き

「どんな人に来てほしいか」で悩む児童は多く、
「みんなに来てほしい!」という声も
聞こえてきました。


「まずは一番来てほしい人を1人思い浮かべて、
何を伝えたらいいか考えることが
結果的にたくさんの人が
来てくれることに繋がるよ!」

ということをその場で児童に
丁寧に伝える場面もありました。

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ワーク中、個別に進捗を確認しながら声掛けや質問を聞いて回りました。

当初選ばれたペルソナでは、
「おじいちゃんと犬」が目立ち、
友達や身近な家族だけでなく、

離れて暮らす家族にまで
関心を向ける様子がありました。

一方、ペルソナを選んだあとの
「その相手に何を伝えるか」では、
筆が止まる児童が多くいました。

そこで、悩んでいる班には、
自分と同じ小学生や、兄弟のいる中学生など、
想像しやすい子ども向けに
選び直してもらう場面もありました。

やはり想像しやすい相手のほうが
言葉が出やすく、自然や遊びに関する
言葉が多く挙がりました。

発表の形式

発表は、まず各自が入れたい言葉を出しあい、
班の中で「一番多くの人が来てくれそう」
だと思う意見を、同じタイミングで指差しします。

そして、一番支持を集めた意見を
班の代表者が発表する形にしました。

班ごとに「遊び」や「自然」など
訴求するポイントが少しずつ違い、
多様な意見が出ました。

キーワードだけの班、
事実を大きく伝える班がある中で、
最初からキャッチコピーらしい文章を
考えてくる班もあり、
クラスの中で秀逸な案がいくつも出ました!

子どもたちが考えたキャッチコピー

各クラスで多数決を行い、最も多くの人が
来てくれそうな代表のコピーを決めました。

1組:ようこそ、自然の国へ
2組:めざめバレー公園にみんな集まれ!

【その他各班で選ばれたコピー案】

  • たくさん遊べる、大きな原っぱ。
  • 原っぱで走って虫探し
  • いっぱい遊べるよ!
  • めざめバレーにみんなで来てみよう。
  • 遊んで走って楽しい公園。
  • お散歩できるよ!
  • 友達と遊ぶと楽しいよ!
  • 楽しくワイワイみんなで遊ぼう。
  • 素敵な緑の街。
  • 歴史も学べるめざめバレー
  • ようこそ森の中へ!
  • 犬と一緒に散歩できるよ。
  • 元気に走ってみんなで遊ぼう。

デザイナーから見た2つのコピー案について

単語レベルの言葉が出てくると
想定していたところ、
最初からキャッチコピーを考えた児童も
複数おり、3年生の力に驚かされました!

2組の「めざめバレー公園にみんな集まれ!」は、
ストレートで訴求が分かりやすいと
フィードバックを行いました。

「集まろう」ではなく「集まれ!」と、
子どもたちが自分たちと同じように
公園で遊ぶ人たちに呼びかける言葉です。

耳ざわりのいい言葉より、
分かりやすい内容を端的に伝える。

プロの現場でも大切にしている考え方に通じています。

1組の「ようこそ、自然の国へ!」は、
また別の面白さがありました。

広大な敷地と、長く未整備のまま
自然が多く残るこの場所を
「自然の国」とたとえた点に、
子どもたちの発想力と想像力を感じます。

各クラスの代表コピーは、
第2回で掛け合わせ、
1つの大きなコピーに仕上げる予定です。

先生からいただいた言葉

授業実施後、先生からお礼のメールをいただきました。
一部をご紹介します。

子どもたちは、チラシやポスター作りを「自分たちにも簡単にできるだろう」と考えている一方、「どう作ればいいのかわからない」と困惑している子が多くいました。

「何のために作るのか」「誰に対して作るのか」を丁寧にわかりやすく説明してくださったことで、子どもたちがスムーズにチラシやポスターの意味を理解できていました。

特に「誰に対して」という部分はかなり意識できていました。 やはり子どもたちにとってプロから学ぶことは、何よりの学びになると感じました。

私にとっても、これまで大人向けにデザインを
お伝えしてきた経験の中で、
小学生への授業は初めての試みでした。

「誰に見てほしいか」「何を伝えるか」を
考えるのは私たちの日常業務ですが、
それを小学3年生にどう伝えれば理解してもらえるか。

この工程には、かなり試行錯誤しました。

クイズ形式にしたことで、
児童がデザインの画像や内容をよく観察し、
さまざまな意見が出る授業になった
手応えを感じることができました。

次回は、PCでチラシ・ポスターのデザインに挑戦

第2回では、今回生まれた
キャッチコピーをもとに、
手書きではなくパソコンで
チラシ・ポスターをデザインします。

3年生から1人1台のパソコンを
使い始めるタイミングに合わせた取り組みです。

「デザインは相手への思いやり」。
3年生が真剣に考えた
「誰に、何を伝えるか」が、
公園が開く2028年にどんな形になるのか。

引き続き、この活動の様子をお伝えしていきます!

K.Okabe

K.Okabe

creative marketer
クライアントの事業や計画を細かく分析し、適切な戦略を立てていくことを強みとする。
クリエイティブ制作の範囲に留まらず、事業パートナーとして経営者に伴走可能なクリエイティブマーケッター。
日々多様な依頼を通して幅広いスキルを会得しながら活動中。 好きな言葉はTime is money.
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